ちゅら島に行ってきた−後編−
あらすじ
披露宴の2次会で膝が笑うほど跳ねまくって筋肉痛になった森下は、梅雨空を恨めしく仰ぎ見つつ山盛りのタコライスを平らげていた。次はいよいよ本丸に迫る。
いきなりお宅拝見。ハードミニマルのトラックメイカーでもあるぽりさんと活動的なKANさんのことなので、整理されつつも漏れ出る気配を期待した。しかし、1歳半の娘さんがいるだけにそんなことはなく、眼前に広がるサトウキビ畑との相乗効果で清涼感さえ感じられて、やや拍子抜け。娘さんは元気に動き回って、人見知りもせず僕によじ登ろうとするくらい。とてもかわいい。ともかく、CMになりそうなくらい理想的なご家庭だと感じた。この時は。
娘さんを寝かしつけると、宴会。大量に余ったオリオンビールの消化を主任務に、ゴーヤーチャンプルー、中味汁、三枚肉と沖縄料理の粋を頂く。とにかくうまい。ぽりさんがうらやましい。おなかいっぱいになったところで、KANさんが言う。
「クビレンジャー見よう!」
聞き間違いだろうか。
出てきたDVDを見ると、確かにクビレンジャー。やけに高画質、耳を疑うハイクオリティーな音楽、シュールな設定・・・絶句である。これまた何かの拍子に坂本龍一の話になって、ごっつええ感じの4巻のビデオが出てきた。教授が出演していて抱腹絶倒とはこのこと。先日お世話になった夫婦にまたしても送っていただいて、ホテルに着いたのが明るくなり始めた6時。お世話になるにもほどがあると、自責の念にかられたりもした。
最終日。エウレカ見なきゃと7時にアラームをセットするも全然気づかず、そのくせアラームも何もなしに10時に起きた。チェックアウトしたが離陸まであと4時間もある。そこで向かったのが沖縄伝統工芸館。次に平和通り商店街を歩く。人はたくさんいるのだがスーツにネクタイで歩いてるのは僕一人。メガフロート級の浮きっぷりである。それでもめげずにゲーセンで音ゲーをプレイ。沖縄そばも食べて、そろそろ帰ろうかとモノレールの駅に向かっていると、おばさんに呼び止められた。
「お兄さん、シャッター開けるの手伝ってよ」
スーツ姿は伊達じゃない。好青年のふりして「せーの!」とか言いながら開けると、そこは焼き物店だった。安くするから寄って行きなよと言われる。言われるままに店内に入る。シーサーや泡盛を入れるのであろう赤土の素朴な瓶などが並ぶなか、綺麗な藍が出ているタンブラーを手にとった。マイナスイオンが出て体にいいんだよ、と連発するおばさん。あまり強調すると逆効果ですよ?と言いかけて勘定を済ませる。2,000円の物だったが500円安くしてくれた。
関西空港へ向かう機中、ろくに寝ていないのに歩き回った自分のタフさが不思議になる。これはやはり、たらふく沖縄料理を頂いたのと沖縄の人柄に触れたからだろうと綺麗にまとめていたら、スチュワーデスさんに足元に置いた荷物を注意される羞恥プレイで幕を閉じた。
おわり。